Gritha グリタ(ギー)
2021年12月3日
アーユルヴェーダの最高で特別な油ギー
アーユルヴェーダで様々な場面に活用されるギーが最高の油とされる理由は、ギーそのものの性質が優れているだけではなく、ギーと合わせるものの特質を変容させずに身体内へ運ぶ力があるからだとされます。(ここで定義されるのは牛のギーです)
知性や記憶力を増加させ、消化力を強化して身体を丈夫にし、精力や長寿をもらすといわれています。「適切に作られたギーは何千倍もの効力を持ち様々な用途で使用ができる」と古典にあるようにアーユルヴェーダでは特別な油です。
古典文献によるギーの効果
- ヴァータとピッタを鎮める
- ピッタを悪化させずにアグニを高める
- 身体を若々しく保つ
- シュクラ(生殖組織)オージャスを増やす
- 記憶力や知性を向上する
- 体の不要な物を老廃物としてすみやかに排出させる
ラサ:甘味
グナ: 油性、柔性、滑性、重性
ヴィーリャ: 冷性
ヴィパーカ:甘味
ドーシャへの作用トリドーシャバランス
ギーの伝統製法
伝統的なアーユルヴェーダの定めるギーの製法は以下になります。
- (下準備)ミルクを沸騰させ殺菌します
- ミルクを常温にさまし、カード(*)を大さじ1加え泡立てないようにそっと丁寧に混ぜます
- 温かい場所で1番置いて発酵させます
- 翌日固まったものを攪拌棒でよく混ぜ分離させてバターとバターミルクにします
- バターを加熱し水分を完全に飛ばし鍋底に白く固まったタンパク質が層になるまで沸騰させ続けます
- 濾過して乾燥した清潔な容器に移し保管します
(*)カード:ミルクに柑橘やビネガーなど自然の酸を加えて発酵させたもの。菌で発酵させるヨーグルトとは違います。
伝統製法で作るギーは発酵過程を経ています。これによりカパを増加させることがない消化に良いギーになると言われます。
簡易版家庭用ギー
伝統製法で作るギーはなかなか手間がかかりますが簡易版として市販のバターを使うことが可能です。
- 鍋に無塩バターを入れて弱火〜中火で溶かす
- 加熱しつづけると最初に白く小さい泡がたちます
- 更に加熱すると水分がとんでたんぱく質が分離し大きな泡がたちブクブク音がします
- その後再び細かな白い泡に変化し、パチパチと高い音がしてきたら火から下ろします
- 透き通った金色のギーが完成
- 濾して乾燥した清潔な容器に移し保管します
簡易版のギーは伝統製法に比べると消化に重いと考えられています。カパを増やしすぎないように摂取量に気をつけてください。またカパの影響を抑えるためにハーバルギーに加工することもできます。
ハーバルギー伝統製法
「アーユルヴェーダ製剤の種類と伝統製法」近日公開